けんごのお屋敷

2017-09-06

「やさしく学ぶ 機械学習を理解するための数学のきほん」を執筆しました

私が執筆した書籍 やさしく学ぶ 機械学習を理解するための数学のきほん がマイナビ出版から Amazon で 2017/9/20 より発売されます。Amazon 上では既に予約可能になっていますので、興味のある方は是非とも手に取ってみてください。

本書は、以前よりこのブログ内で公開していた「やる夫で学ぶ機械学習シリーズ」というシリーズ物の記事をベースとして、加筆・修正を加えたものになります。ブログの記事がベースになってはいますが、追加で書いた分の方が多く、お金を出して買ってもらえるクオリティにするために、より丁寧な説明を心がけて書きました。元記事は「やる夫」と「やらない夫」というキャラクターを登場人物として、機械学習の基礎を面白おかしく丁寧に解説していくものでしたが、書籍化するに当たって「やる夫」と「やらない夫」をそのまま使うわけにもいかなかったので、プログラマの「アヤノ」とその友達で機械学習に詳しい「ミオ」というキャラクターを新しく作って、彼女らの会話を通して一緒に勉強していく形を取っています。この本は以下のような構成になっていて、Chapter 1 〜 5 が本編で、Appendix で必要な数学知識の補足をしています。

  • Chapter 1 - ふたりの旅の始まり
  • Chapter 2 - 回帰について学ぼう
  • Chapter 3 - 分類について学ぼう
  • Chapter 4 - 評価してみよう
  • Chapter 5 - 実装してみよう
  • Appendix (本編に入り切らなかった数学知識の解説)

会話形式なので、全体的な文量もそこまで多くなくスラスラ読んでいけると思います。ただし、本書は機械学習の数学に関する入門書という位置付けなので、プログラミング自体の入門解説だったり、いろいろなアルゴリズムの紹介だったりは、内容にありません。Chapter 2 及び Chapter 3 あたりが、いま公開されているブログ記事ベースになっていますので、いきなり本を買うのが嫌な方や試し読みをしてみたい方などは、まず やる夫で学ぶ機械学習シリーズ を読んでみると、感覚をつかんでいただけるのではないかなと思います。また、マイナビ出版の Facebook には 本書のサンプルページ が掲載されていますので、そちらを見ても雰囲気はつかんでいただけるかなと思います。

執筆にかけた想い

書籍の宣伝はこの辺にして、ここからは個人的な想いを書いたポエムですので、ご了承ください。


- 数学や機械学習を通じて、気軽に話したりお互いに刺激し合える仲間が欲しい -

始まりは、ただ、それだけでした。

私がいわゆる機械学習と言われる領域に足を踏み入れた頃は、いまほど界隈は賑わっていませんでした。元々は大学時代からコンピュータービジョンや 3D に興味があり、それらに関するアルゴリズムや実装を探しているうちに機械学習に興味をもって勉強し始めましたが、もちろん当時は参考にできる Web サイトも書籍も、今よりも少ない状態です。仕事として機械学習をやっているわけでもなく、手取り足取り教えてくれるような詳しい人や、機械学習に興味を持っていそうな人は周りにはおらず、毎日ひとりでアテもなく先の見えない道を進むばかりだったのを覚えています。一人きりで何かを続けていくことほど、モチベーションが長続きしないことはありません。

そんな状況でしたのでちょっとだけ勉強には苦労していたのですが、学生時代から数学が好きだったこともあり (得意かどうかは置いといて) 数学に対する抵抗はまったくありませんでした。むしろ数学をやっている時間は一人でも楽しくて、没頭することができました。そうして勉強しながらしばらく時が経ち、世の中が機械学習やディープラーニングで盛り上がりを見せ始めたのをきっかけに、自分のブログでもぽつぽつと機械学習に関する情報を発信するようになっていきます。また、数学好きが高じて プログラマのための数学勉強会@福岡 というイベントも主催していました。そうやってアウトプットを続けていれば、きっと仲間が集って、いつかみんなでワイワイできるようになるんだ、と信じて。

そういったアウトプットの一環として やる夫で学ぶ機械学習シリーズ は産まれました。このシリーズは「わかるって楽しい」をコンセプトに、なるべく読者を置いてけぼりにしないように気をつけながら書いていました。シリーズ目次には「まとめることで知識を体系化できて自分の為になる」などと書いてますが、先にも仲間集めをしたいと言っていたように、本当は もっと身近に機械学習に興味がある人や仲間を増やしたい という理由がありました。自分なんかが書いた記事で機械学習に興味を持ってくれる人が増えると考えるなんておこがましい、と割りとネガティブに考えていて、無理やり別の理由をくっつけていたのですが、幸運なことに公開後に非常に大きな反響をいただきました。そのおかげで「あのブログ読みました」と声をかけていただくことも多くなりましたし、結果的にこのシリーズをベースに書籍の執筆の機会をいただくことが出来ました。このシリーズ記事を通じて、機械学習の基礎を理解して興味を持ってくれた人がいたとすると非常に嬉しいですし、そういう人が増えてくれると記事を書いた甲斐があったというものです。

そして、私のその想いは書籍になっても変わりません。いまは時代も移り変わり、初心者向けの解説書や Web の記事はたくさんあり、導入の敷居は確実に当時よりも下がっています。そんな中、あえて本書を選んで手にとってくれた方には是非とも、一緒に話したり勉強したりできる仲間を作って、そして私のようにひとりぼっちで悩むことがないように情報を発信し続けてくれればいいな、と思っています。

願わくば一人でも多くの機械学習へ興味を持つ方へ本書が届き、そして役に立ってくれますように。

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